「抽象度を操作する発想が導く問題解決のデザイン|アジアの人 道 防 災 分 野における社 会 課 題に対するアプローチ」と題して、1月19日(金)に多摩美術大学とADRRN東京イノベーションハブの共同プロジェクトの成果発表が行われました。
テーマは「地震に強い住宅(ネパール)」「廃プラスチックの再利用(ネパール)」「難民の人材データベース(オーストラリア)」「1000日のフードバンク(インド)」「法的証明書の安全な保管(フィリピン)」で、5名の学生はそれぞれの研究テーマにつき、課題に対して感じた素朴な疑問から実際のプロダクト完成に至るまでのプロセスを発表しました。会場にはコミュニティ向けのガイドブックや模型などのプロダクト、コンセプト映像、収集した資料なども展示してあり、大きな課題を自分なりの視点で具体的な解決策にまで絞り込むまでの工夫が発表と展示の両方から伝わる構成になっていました。
冒頭には指導教員の大橋由三子教授が本プロジェクト実現の背景となるデザインの考え方について説明しました。そのなかには、見えるものをそのまま理解すること、理解したことを一度手放すことの大切さなど、イノベーションにもつながる重要な思考法が紹介されました。発表した学生からは、「外国人である自分たちにできることは何か考えさせられた」という意見のほか、教育や啓発など「造形で表現できないプロダクトを伝えることが難しかった」などの感想が述べられました。
本プロジェクトは2017年9月から4か月間実施され、多摩美術大学生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻の内部募集に手を挙げた2年生から4年生の5名がそれぞれテーマを選択し、研究を行いました。ADRRN東京イノベーションハブは、自ら支援するNGOが取り組むテーマを学生に共有し、学生によるNGOへのインタビューの設定やアイデアへのアドバイスなどを行いました。
今後は、学生が研究成果を同じ課題に取り組むNGOに報告し、NGOからのフィードバックを受ける場を設定する予定です。さらに、NGOからコンセプトを採用する希望があれば、ADRRN東京イノベーションハブのインキュベーション案件としてプロジェクト化することも検討しています。なお、本プロジェクトでの研究成果については、ADRRN東京イノベーションハブのホームページにも掲載する予定です。